なぜ喉の発見に数百年もかかったのだろう。「喉」でも触れたが、次のことがいえる。 

1.                    喉話者には、口言語が口言語だとすぐに分かる。

2.                    口話者は喉言語が喉言語であることが分かりにくい。

わかりにくいかもしれないので、数回、繰り返して読んでみてほしい。喉話者とは例えば英語ネイティブのことである。口話者とは、東アジア系言語の話者であり、例えば、日本語話者を指す。

もう少し説明してみる。

喉話者は口発音をすでに知っているのだ。

喉話者は、喉を響かせて発音するが、口も少し(10%ぐらい)は響かせている。「大は小をかねる」ということわざしか浮かばないが、喉発音はここでは「大」である。英語喉にも書いたが、ネイティブが風邪をひくと、口発音ぎみで喋ることがある。だからこそ、口発音の存在を知っている。

ところが、口話者にとって、喉は未開の地である。口に意識があるため、喉はいわばブラックホールだ。まさか、喉が発音の90%をになっているなど、これまで想像もつかなかった。

さて、日本語と英語のバイリンガルの場合どうなんだろう。現在、米国で大人気のドラマでHEROESというのがある。その中でも人気者の日系俳優の岡さん。英語も日本語もネイティブである。岡さんの映像をYOUTUBEより引用する。

http://jp.youtube.com/watch?v=Ig9dBT8CSOo

注目してもらいたいのは、岡さんが、HIRO役をしているときは、日本人を演じているわけだが、完全に口発音でせりふを言っている。英語の台詞も口発音である。

ところが、来日のさいのインタビューでは、日本語をなんと喉発音で喋っているのである。(当然であるが、英語ネイティブでもある岡氏は普段は英語を喉で喋る。)

つまりこういうことである。岡氏は日本語を普段喋るときは、本人は気付いているかどうかわからないが、英語と同じ喉発音をしている。立体的な深い声である。

ところが、日本人の役作りをするときには、何の苦労もなく口発音に移行するのである。

つまり、喉発音―>口発音の移行は簡単なのだ。上に述べたように、大は小を兼ねているからである。

ところが、口発音から喉発音への移行は、日本人が英語を学びはじめてから数百年、起こらなかった。意識になかったからである。

口発音と喉発音を比べたとき、口発音こそが、技術的にみて、高度であるといえるかもしれない。喉発音は、生物の発生法のDEFAULTであるが(上のYOUTUBE映像で、最初に登場する子供でさえ喉発音だということを確認してほしい)、口発音は、「凝った」発音法である。

もちろん、どちらが優れているということではない。喉発音の秘密が暴かれた今、喉言語は喉で、口言語は口で発音すればよいのである。気分転換のために、岡さんのように、喉で日本語を喋ってもいいだろう。

参考

岡氏の英語  http://jp.youtube.com/watch?v=5AJNi7ownac

喉のきしむような音が聞こえるだろうか。 岡氏だけでなく、他のネイティブのキャストも喉から「きしむ」ような声を出している。女性もそうである。

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