http://mainichi.jp/life/edu/exam/daigakubetsu/graph/toudai1/eigo/1.html に東大入試の英語問題があったが、素材を読んでいると、あまりの悪文ぶりに目がくらくらする。どう考えても、英語が下手糞な人が日本語を英語に訳しながら書いた文のオンパレードだ。

結果として英語を読むと言う作業は、パズルを解いているかのようで、非常に面倒くさい。

Familiarity with basic science is more important than ever, but conventional introductory courses in science do not always provide the necessary understanding の真ん中あたりから、え?どういうこと?と思ってもう一回最初に戻って読まないといけない<語順によって論理的に意味を織り成すように書かれていない、、と言えるだろう>。

ところが、アメリカの新聞などは一度も戻る必要がない。

http://mainichi.jp/life/edu/exam/daigakubetsu/graph/toudai1/eigo/2.html は2つめのエッセイだ。

I'm sixteen.  The other night, while I was busy thinking about important social issues, like what to do over the weekend and who to do it with, I happened to hear my parents talking in the kitchen about the future.

にしても、最初のあたりで、え?どういう意味?と思いながら読み続けて、最後まで読んで、もう一回最初から読んで、あ、そうかと理解できる。短期的な記憶の回路に情報が残りにくい書き方だ。

タイタニック級の超悪文である。

さて、最近、たまに英、米文学を読むことがあるのだが、英米の作家というのは、本当にクリアな文を書く。ちょっと引用させてもらう。

まずはコナンドイルのシャーロックホームズから。

Tales of Sherlock holmes  A Case of Identity

"My dear fellow," said Sherlock Holmes, as we sat on either side of the fire in his lodging at Baker Street, "life is infinately stranger than anything which the mind of man could invent. 

で始まるのだが、一度も帰り読みせず、す~~と頭に入ってくる。

当たり前かもしれないが、文学者というのは、す~~と読めるような美文を書けるから文学者なのである。

難しい表現を使っていたとしても、読み手がす~~と読める。それが読み手の快感だ。それを可能とするのが書き手の技能である。

リンカーンの演説はどうだろう。

Fourscore and seven years ago our fathers fought forth on this continent a few nation, conceived in liberty, and dedicated to the proposition that all men are created equal.

す~~と文字の順番どおり頭に入ってくる。

http://mainichi.jp/life/edu/exam/daigakubetsu/graph/toudai1/eigo/5.html は同じく東大の英語試験素材であるが、これは外人が書いていると思われる。それは、日本語を訳したように読めないからだ。語順の工夫ですんなり頭に入ってくるように書かれている。

Caffeine is the most widely used drug in the world, and the value of the coffee traded on international commodity markets is exeeded only by oil.  Yet for most of human history, coffee was unknown outside a small region of the Ethiopian highlands.

うん、これは外人、いや、グローバルなマーケットで通用する教育を受けた人が書いている。

最後に、以下は、東大英語入試のリスニング用問題素材であるが、、、

http://mainichi.jp/life/edu/exam/daigakubetsu/graph/toudai1/eigo/23.html

内容的に、聞いて答えるには、やや難しいような、、、。東大の英語の先生が聞いて意味が分かるかどうか、、。でも入試って、順番がつけられたらそれでよいのかもしれない。

さっそく私自身が朗読してみた。初見で読んだので乱れたところもあるが、こんなもんだろう。

www.estat.us/blog/todaitest.mp3

この素材文は確実に外人が書いている。語順で分かる。 

よく、良い文を確認は文法の基礎をという人がいるが、英語においてよい文は文法で書いているのではない。語順が勝負である。す~と頭に入ってくる語順が大切なのだ。これは日本語を書くときも大切であるが、私は日本語の書き方というエッセイを書いているのでぜひ参考にしてください。

ここです。英語でも同じです。

http://www.estat.us/kaz/id28.html

 

実は数週間前にRON氏とSKYPEで話をした。20年以上ぶりに話をしたのでなつかしかったのだが、氏とも文法について意見を交わしました。

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3 thoughts on “東大入試の英語試験を見て思うこと

  1. Michy says:

    かずさん、こんちには
    これも少しだけコメントを残します。
    私に残念ながらは文才はありません。
    直感の右脳人間です。
    イメージや感覚を大切にします。
    左利きの血かもしれません。
    文法は正直苦手です(笑)
    自分なりに考えますが、考えて、論理だってというのが苦手です。
    それでも、相手に訴えかけることも、納得してもらう事も可能です。
    気持ちの方が重要であると思います。
    このpostとは関係ありませんね(笑)
    このpostに関してですが、確かに英語に精通した人(外人)が書いた文章は読みやすいですね。分からない単語はあるものの、読みやすいです。
    日本人の英語は、自分も含め、難解です。。。
    短文でもいいので、簡潔に書くことが良いと思っています。
    短いと文法的な事はそこまで気にしなくてもいいので(笑)
    やはり、コツコツと、必要な事を優先して覚えることが重要だと思います。
    単語帳、文法書を丸々一冊することはすごいですが、その中で使うのはいくらあるかということを考えると、効果的なのは、必要になったことを優先して勉強して覚えることだとおもいます。
    他にも覚えることは山ほどあるのですから。。。

  2. アキ says:

    カズ先生、こんにちは。
    今日の文法のお話も、非常に面白いですね。
    東大の問題や学内で使用されているテキストは、私も昔から何度も見ますが、これほど酷い文章は久しぶりに見ました。
    本当に、これが今年の東大入試に出題されたのでしょうか?
    もしそうならば、あの学校も、もう命運が尽きましたね。

    ところで、カズ先生は、日本においてケリー伊藤さんが主張されているような、いわゆる Plain English が良いと思われているのですか?
    私は、あれに拘るのも問題だとも思いますが。

  3. 上川一秋 says:

    アキさん、プレーンだろうが、複雑だろうが、大切なのは、普通の読者が読んで、いっきに読めるかどうかがポイントです。あまりにPLAINだと、逆に読みにくかったりすることがありますからね。

    国立の大学は、税金を使っているのだから、お金がない学生を受け入れるべきじゃないかな。試験やらずに。

    いや、試験が大切だと来ると思いますが、じゃあ、あなた、その試験やってみて、とたのんで、その人ができたら、いさぎよくひきさがります。できなかったら、そこで、え?先生もできないの?なんでそんなものをテストしているの?とつっこみたいところです。

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