September 30, 2010

HOTELの発音の仕方 従来の説明のしかたと喉パラダイムの比較

たこ焼き村先生が、スペイン語発音講座において、HOTELの発音のしかた、スペイン語のと、英語のを比べていらっしゃる。この機会を使わせてもらい、英語喉パラダイムと従来の指導法の違いを比較してみたい。 たこ焼き村先生のサイト http://www5d.biglobe.ne.jp/~ktakuya/pronun01.htm の 番外編:英語の hotel とスペイン語の hotel とあるところ。音声ファイルを置いてらっしゃいます。 従来の方法は新しいものではない。私が同志社の英文科だったときに、音声学のクラスで似たことを勉強したとは思う。   先生が説明されているのは、HOTELという単語で、スペイン語のHOTELと英語のそれを比較されているが、私は英語の説明のほうに注目。   先生は、HOTELのO(英語のほう)はオウだとおっしゃっているが、これは、日本の辞書にもそう書いてあるし、私も以前はそう思っていた。しかし、ONLINEのウェブスター辞書には、単にOとされている。 実際には、このOは、オウではなくて、O(オ)だけなのだ。英語喉的には、。喉でOと響かせていうと、日本人が聞くと何となくウっぽい残響感が残る。そのウは、わざと言うウではない。   つまり、オウという二重母音は英語に存在しないということだ。 IPAのパラダイムでは、音を瞬間的にとらえる感覚がある。だからOにちょっと残響感があるならば、それをUだとして表現するのだろう。   次はTの発音。口のなかで、はげしく破裂させる感じは、従来の方法が教えるところである。実際のネイティブはそういう風にしていない。日本人が口の中で激しく破裂っぽくしないとTにならないのは、喉のほうが緊張しているために、首のパイプを楽器として、生かせないからだ。首のパイプを充分響かせておけば、舌のほうは、単にはずすという感じで充分、アメリカ英語のTが出る。   そして、Lの発音だが、先生は、HOTELのLは、舌が上につかないことがあり、舌のおくのほうが盛り上がる、、、と説明しているのだけど、それは事実と違う。それをするとホテウという感じになるが、やはり、実際の音とは違う。Lはウではない。   確かに喉をあけたまま、リラックスさせて、Lを発音すると、日本人が聞くとウっぽい音が聞こえるように思えるかもしれない(暗い感じがするかもしれない)。しかし、それはウといっているわけではない。   実際、文のなかでHOTELを言うとする。THE HOTEL ISとするならば、HOT-TEL-LIZという感じになるのが、その場合、全然、Lが暗い感じがしない。HOTELというと、Lが暗く感じても、HOTEL ISだとそう感じない。 舌の奥に関して、そう指導しているのは、たまたま日本語ではウをそのように舌の後方を盛り上げて発音するからだろう。私の感じでは、IPAの教え方は、日本語をおおげさに強調したもののように思われる。実際、アメリカ人はLの時にでも、舌は、口の屋根につくけれど、結構、全体的にはどてっとしたままだ。 IPA学派が単語レベルでしか説明しないのは、文の中に単語が入ると、色々と音の感じが変わってしまい、今、せっかく、ダークL(ウみたいに聞こえるL)と説明したものが、そう聞こえなくなってしまい、説明の一貫性がなくなってしまうからではないだろうか。   例えばRで唇を丸めますといっても、一語なら、それはできるけど、文となると、CONSISTENTにできない。実際、丸めなくてもRが言えるし、ネイティブは丸めていないからだ。丸めることもあるかもしれないが、それは何かを強調しているときであり、音に弁別的な違いが出るわけではない。笑いながらでも、英語が喋れるし、Rは発音できるが、笑っているときは、唇を丸めることができない。   それから、Lの時の(これはスペイン語でも英語でもそうだが)、舌の位置を細かく意識する必要はない。私は、舌の位置はちょっと後ろ気味にしようと、前ぎみにしようと、横ぎみにしようと、だいたい同じLがでる。あんまり右になったり、左にやると、発音しにくくて、音がこもったりするが、そのコモリは根本的に、LをLじゃなくするものではない。つまり弁別的要素ではない。   私は学生時代に、つるんでいたアメリカ人がLを発音するときに、舌を極端に出すことに気がついていた。これは癖だったと思う。ブリットニースピアがMTVなどで、舌をぺろっと出す感じでLを発音する(これは、セクシーさを出すためらしい)。   実は、当時は、あ、舌を出せば、ちゃんとLが発音できるんだ、これは大発見だと思っていたのだ。しかし、本当に大切なのは、 Lは舌の位置をどうしようと、同じLが出るということである。口の屋根についている限りは、実際、どこでもよいのだ。もちろん、一番、楽な場所というのはある。   しかし、我々は舌を口の屋根につけるというと、ものすごい難しいことに思えてしまうが、実際、一日中、暮らしていて、舌が口の屋根についているほうが普通じゃないだろうか?それを、これまで我々は、舌をつけるための筋肉を鍛えるという感覚で発音練習をしてきたのだ(この点は、たこ焼き村先生が言っているわけではありません)。 IPA学派の弱点は、音を瞬間的に捉えすぎている点だと思う。それはIPAの発音記号が、音のライフサイクルを軽視している点が原因だろう。しかし、同じIPAを使って、ヨーロッパの人に教えたときは問題がない。ヨーロッパ人は喉発音なので、教えなくても、音にライフサイクルが生まれる。しかし、日本人にとっては、もともと日本語の音が、ガガガガという感じで短いので、音に関するイメージが、瞬間的だ。   ライフサイクルという考えは、これまでダークLだとか言われてきた現象を全て、ことごとく説明してしまう。TELLのLが暗めに聞こえるとしたら、それはたまたま、音の半分まで(舌がつくとこぐらいまで)が発音されたからだろう。TELL ITと音がつながると、TEL-LITとなり、2番目のLとして音の後半が加わるために、今度はダークLとうい感じがしない。 Rだって、音のどこに出没しても、同じRだということは、先日、音声でも示したところだ。Rのライフサイクルは、比較的単純で、最初から最後まで犬がうなる感じの音だ。   あ、そういえば、REDを読むとき、日本人はウレッドという感じで、ウをつけると、それっぽいと考えてきたが、実は、あのウがRだったんじゃないかな?レに聞こえるところは、RからEに移る位のところだろう。   アドリブ英語の音声にて解説。www.estat.us/blog/hotel.mp3

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