July 20, 2008

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今日はアキさんのご質問への回答です。 

ご質問 喉発音の本では、n,t,d の子音は舌の角度などにこだわるな、と解説されています。この3音は、昔から学校では、口蓋前方の歯茎の位置に舌先をちゃんと当てて息を吐くように指導する教師が、多かったと思います。しかし、私が喉発音の練習を始めて感じたのですが、必ずしも口蓋に舌先が付かなくてもよいのではないでしょうか?   回答 そのとおりです。喉革命以前の私はNといえば、強調するほど、舌を屋根につけて発音していましたし、そうすることが、ネイティブ発音と思っていました。例えばPENであれば、ペンヌという感じです。ESS仲間などの間ではそうすることが*一つのステータス*だったような気がします。日本人の間では「俺は発音がうまいんだ」、、、というような。 Sのときに、やたらとすーっと音を鳴らす、、、というのも、その手のアピールとなりましたよ。昔ESSでランチタイムに英語会話をしていたのですが、静かな教室に響き渡るような風の音がします。高校のときに留学していたという先輩などはそういう発音をしていましたから、おーネイティブっぽい、、、と感動したものです。で、私も真似をしていました。      ちなみに、喉の本を書いているときに、共著者のJEANAさんに、カズが喋るとき、そのスースーする音はなんじゃ、、、と聞かれました(笑)。で、JEANAさんは、カズは口の奥に銀歯があるから、その銀歯に風があたって、そんな音を出す(Sの発音のときに)、、、と納得していました(喉をまだ発見していなかったときのエピソード)。今考えてみると、それこそがSを口発音していた証拠ですね。これが抜けるのにちょっと時間がかかりました(外人声強制ギブスを使うとすぐ直るでしょう http://nippondream.com/estatus/wordpress/?p=219)。英語耳の松澤さんは、Sのときに、摩擦の音が10メートル離れていても聞こえるようにと指導されていますが、これでは口発音傾向がたかまってしまい、英語がますます通じなくなります。 (なんで銀歯の話になったかというと私と同年代か、下のアメリカ人は、むかつくほど、虫歯がないんです。一箇所も治療の跡がない、つまり銀歯などがない、、アメリカ人はざらです。もっと若い世代では当たり前でしょう。うらやましい、、、)             ありゃ、N,T,Dの話をしていたのに、Sの話になってしまいました。ポイントは日本人が思い込んでいる発音法は、ネイティブに対して、「あー、そうやったらうまくなったねえ」と言わす効果があるんじゃなくて、日本人同士で、そうやったらネイティブっぽいよ、、、と思い込んでいる部分にアピールしているだけ、、、ということです。             教師が舌の位置にこだわるのは、それは、なにかやっている気になるということです(ごめんなさい)。舌の位置ならば、誰でも動かせますから。野球でノックをするときに、腰をおとせ、、、と指導するのに似ています。腰をおとしても球がとれるようになるわけじゃないんですけど、監督の立場から見ると、何かをさせて、それが実践可能なので、何かをしているような気に慣れます(炎天下でも水を飲むなとか、泳ぎに行くなとか、、も言われていましたよ、、、体が弱ると)。アメリカの大リーグで全然腰をおとさず、ごろをとっている選手などがいて、なーんだありゃー、、、と思ったことがあります。実際は舌を右におこうが、左におこうが、N,T,Dの発音ができないとダメだということです。喉でがんばりましょう!             教師バッシングみたいになってしまいますが、そういう意図ではありません。本当の気持ちは教師がプロとして何かを教えるときに、メソッドを開発しましょう!ということを言いたいんです。予習や復習はメソッドではなく練習法です。メソッドのない練習法はただの練習です。繰り替えすことも練習法にすぎません。メソッドとはプラモデルを組み立てるときの説明書と同じ。こうやって、こうやったらできますよ、、、というメソッドです。             私は中学校の数学の授業をよく覚えていますが、予習するにも、わからん、授業うけてもわからん、復習するにも分からん、、、試験前になってもわからんから勉強する気が起きない、、、とう憂鬱な気持ちをよく覚えています。数学を生徒が理解するメソッドが確立されていないのです。かわりにあるのは、予習せい、復習せい、態度を直せ、とか、、、そういう精神論ばかりでした(ずっと自分のせいだと思っていましたが、アメリカにきて統計学をとったりして、今はその分野なんですが、ありゃ、わし、数学が不得意じゃったんじゃなかったんかいのお、、、とショックを受けました。)   ご質問 たとえば、I can go there.  I can believe it. などの can の語尾では、いちいち舌先を歯茎に付けた状態で発音すると、次の音を続けて言いにくくなるように感じます。私の知人の英語教師に聞くと、それは従来の音声学における同化(Assimilation)といわれる現象ではないか、と回答されましたが。 回答 I CAN GO THEREのときのCANのNですが、これは確かに舌を上につけないほうがうまくつながりますね。でもNを発音していないということではないんです。英語喉ではライフサイクルという概念を紹介していますが、Nにも始まりがあり、中間があり、終わりがある。舌がついていなくても、舌がつくまでのNが発音されているのです。音の一つ一つにライフサイクルがある、、、ということが大きな喉革命の一部です。JEANAさんが、次から次へと発見をしていきました。   ご質問  そもそも、n および ng(king, sing などの語尾)が、従来から言われていた「鼻に抜ける子音」だというのは本当でしょうか?   回答 従来の考え方は「本当」ではありません。喉にも書いていますが、全ての音は口と鼻の両方から息が抜けますが、大げさに発音したときに、特に口のなかで息がブロックされる音は、息が鼻のほうにおおめに抜けます(あくまでも大げさにやったとき)。そのせいで、鼻に抜ける子音と勘違いされています。事実上は、鼻をどうこうするような言語はありませんし、そのようなことを文章単位で実践できる人は存在しません(個々の音ごとにはできるでしょう)。   また特に日本人がNを発音した場合、口発音ということもあると思うのですが、口の中の空気が完全に遮断されます。英語ではそうでもなくて、空気はゆるゆると舌の周りをかけぬけていきます。特に日本人がおおげさにやると鼻のほうに空気が抜けていく感じがするということです。 大げさに、、、というコンセプトですが、これはネイティブの先生が日本人に何度教えても、発音が変わらないので、やけのやんぱちでやっている、、、からおおげさになります。また日本人の学習者がその様子をみて、「英語ははっきり、くっきり発音するのだな」と勘違いしてしまいました。先日ご紹介した、東京外国語大学の語学学習用サイトには、色々なヨーロッパ言語の音声が紹介されていて、それらの言語の特徴が「はっきり」していることだ、、、と書いてありますが、この解釈は喉パラダイムによるものとは異なります。喉パラダイムは、「実際は読み手がたまたま、はっきり読んだのだ」と解釈します。 ドイツ語 http://coelang.tufs.ac.jp/modules/de/pmod/practical/index.html 発音がはっきりしている フランス語 http://coelang.tufs.ac.jp/modules/fr/pmod/practical/index.html 全体に一つ一つの音がはっきり発音されている。 スペイン語 http://coelang.tufs.ac.jp/modules/es/pmod/practical/index.html 音にメリハリがある。 […]

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