March 17, 2008
イギリス人はイギリス人なりにRを発音している
久しぶりに大学時代の友人と話をした。まず電話をして、最初の声を聞いたときに驚いたことがある。 彼が喉で日本語を喋っているのである。電話口から聞こえてきたのは、平らな音ではなく、渋く、立体的な声であった。 彼は留学していたので、英語ができる。当たり前のように英語を喋っていたが、それは当時の私と同じだった。さらに私と同じだったのは彼がギターをやり、そしてロック(洋楽)を聴いて歌っていたということだ。だから、喉発音とか3ビートには、自然に接していた。 喉のことを聞いてもらったが、納得してくれていたようだった。彼はイギリス英語が得意なのだが、驚異的なことがあった。 イギリス英語ではRを発音しない、、、ということを彼が言った。これは事実上は間違いである。イギリス人がRを発音しないのではなく、イギリスのRが微妙でアメリカのRと違うということである。 ところが、彼がその例として、ある単語を発音したとき、、、まあここではCARにしよう、、、そのRの音が、イギリス人と同じで微妙なRだったということだ。 つまり、音声学の人たちが言うことと同じことを彼は言っているにもかかわらず、実演ではイギリス人と同じRを発音しているのである。そのくらいイギリス英語を自然に身につけているのだ。 普通の人がイギリスではRがないと思いこんでいる場合、こんな発音をする。 CA- (―は伸ばす記号、、、つまりカー) ―(伸ばす記号)は日本語であり、英語にはない、、、という基本的な事実を忘れているのである。 ところが、彼の場合はこうだった。 CAR (RがちょっとHみたい、、、微妙だけど、Rが無いわけではない)。 イギリス人がRを発音しないというのは、アメリカ英語のような強烈なゲップエリア発音のRではない、、、というだけであり、イギリス人はイギリス人なりにRを発音しているのである。 だからこそ、例えばだが、イギリス人にCA(カ)を発音して、長めに伸ばしてくれと頼んだ場合の音と(つまりカー)、CARの発音は違うのである。 ま、とにかく言いたかったことは、この友人は、イギリス人はRは発音しないといいながらも、イギリス人と同じやりかたでRを発音している、、、という事実自体が驚異的だった。 話は変わるが、この友人は非常に才能のある人である。大学時代に自分で曲をつくり、録音し、独自のアルバムを数枚つくり、友人の間に配ってくれていた。そして、その音楽、ロックがものすごく良かった。全部英語だった。 ベルリンの壁の崩壊の前だったのだが、この壁を取り払え、しかし取り払っても何も変わらない、単なるギミックである、、、という曲などは、共産主義崩壊後もグローバリゼーションの中で、新しい富の差などの問題を予測していたかのごとくのテーマを扱っている。 もう一人の友人は、「私、最近、あれしか聞いてへんわ」と言っていたが、私も結構聞いた。 ギターもすごくできたのだが、よく即興のジャムをしたものだ。当時はあまり考えたことはなく、当たり前と思っていたのだが、めちゃくちゃギターがうまかった。私のスタイルはヘビメタの「はやびき」だったが、彼の場合は、イギリスのロックっぽいスタイルのギターを弾いていたように思う。 最近、私も、コード進行とか、音楽の記号体系にとらわれないプレイができるようになってきた。弾いていて、コードだとか、キーだとか、全く考えないスタイルだ。私はソロではそれが以前からできたが、伴奏などではまだコード進行を考えながら弾いていた。彼は、当時から、コード進行とかの記号体系にとらわれないプレイをしていたような気がする。