February 14, 2008

速く走るために腕を速くふれ

発音ができれば聞き取りができる、、、、   という言葉を耳にする。実際、喉においても、同じようなことを言っている。ところが、従来の言い方と、喉における言い方は意味がかなり違っている。   喉においては、どういう意味だろうか。喉においては、「発音」=「聞き取り」なのである。同時進行である。正確には、聞いて、喉でまねる。自分の言っていることを聞く、、、そしてネイティブの音と同じ音がでるように近づけていく、、と。   従来は口発音だったので、ネイティブの音に近づいていかない。そこで、言われていたのが、「がんばりましょう」とか、「繰り返しが大切です」とか、「とにかく続けることが大切です」だった。   喉は柔軟で音をまねる能力にすぐれた声帯を持っている。リラックスして豊かに響かせるならば、多様な音をうまくまねることができる(言語にかぎらず)。   日本人の喉は、日本語の短い音を超高速で作り出すために常に緊張している。したがって、物まね能力に限界があるのだ。   ちょっと実験してほしい。犬のなき声をまねてみよう。最初はカタカナで、ワンワン。そこからもっとリアリスティックなやりかたにどんどん近づけていってほしい。   すると自然の喉の奥へ奥へと発音地点、発声地点が移動していくような感覚を体験できるだろう。奥(首の中の喉)で発音していればいるほど、現実的な、犬的な音がうまく出せるのだ。   実際は、口で声が出ているわけではなく(口には声帯がないことは論を待たない)、喉で出ているわけだから、どんな発音でも喉発音なのだが、日本語的な発声は喉が緊張ぎみだ。だから、正確には、この「発声地点が移動していくような感覚」は勘違い。もともと喉で音は出ているのだが、緊張をほどいてやると、喉の奥へ奥へと発音点が移動しているような錯覚を感じるのである。   従来の言い方で、「発音ができれば聞き取りができる」とはどういうことだろう。出口のないトンネルのような感じである。聞き取りができないのは、発音ができないからだ、、、じゃあ発音をやろう、、と。   ところがその発音ができない場合はどうなるのか????   速く走るために腕を速くふれ、、、と私は小学校時代の先生に言われたのだが、そのときはものすごく納得した。でも、早く走れないから腕も早く動かないのだ。出口のないトンネルのようなものである。  発音ができれば、聞き取りができる、、、というが、じゃあ発音はどうやったらできるのか、、、。  出口のないトンネルである。   「がんばりましょう」 「繰り返しが大切です」 「とにかく続けることが大切です」   となるのである。永久に出ることのできない迷図である。   社会学的な解釈を加えるなら、   師弟関係をつくりだすディスコース、、、と形容することができるだろう。   常に「教師」から「生徒」へと向かうディスコースである。 さらに、教師の立場にいる人がかならずしも、発音がうまくなくてもいいし、聞き取れていなくてもいい、、、という非常に変わったディスコースである、、、 さらにいうと、たとえばだが、聞き取り問題をつくっている試験委員さんでさえ(大学受験とか)、聞き取りができなくてもよい、、、という可能性さえある。おおいにありえそうである、、、聞き取りが得意な人は、まだまだ少ないので(これまで(喉以前は)聞き取りを可能とする原理が発見されていなかったのだから、聞き取りができないのは個人の責任ではない。) さらに、このディスコースは姿形をカモフラージュした「暗記問題」であるということも指摘しておきたい。教える側が、「答え」を持っていて、答え合わせをする、、、という言説戦略になっている。 だってしょうがない。教師の側からみると。   答えとは、たとえばWを言うときに唇を丸める、、、、ということを覚えておかないといけないわけだが、そのような項目はものすごい数があるわけだ。そして、実際の英文は何億ものパターンがあるわけだ。   This is a pen のイントネーションのパターン(何億もあるパターンのなかから)を教える側が一つ選び、指導するわけだが、じゃあ、I like that pen.だったらどうなるのか。何億も存在するイントネーションのパターンのどれを正しいとし、指導したらよいのか?   大学時代にESSをやっていたのだが、1年生を相手にスピーチを覚えてもらってコンテストをする、、、という企画があった。ある先輩は、1年生のスピーチをきいて、リガチャーAばっかり直していた。指摘しようとおもえば、何億もポイントがあるわけだが、なぜか リガチャーAだった。***  喉の新しいパラダイム、「発音」=「聞き取り」という公式に対して、わけがわからん、、、とおっしゃるかもしれない。なんで言うことと聞くことが同じなの?と。 […]

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