英語劣等生さんのご質問への回答
ジーナさんからの回答です。 
以下は誤字脱字等を訂正の後、NIPPONDREAMサイトのQ&Aに転載します。
 

ご質問
やはりTOEFLや映画等でどうしても最後の一歩でまだ速度についていけない箇所があります。ネイティブの日常の高速会話(仕事で使う英語ではなく、オフの時の会話)も含めて超高速スピード(音の連結や脱落含む)に対応するすべはありますでしょうか。
 

回答
 

試験形式の問題点
 まず、そもそも超高速スピードの英語を試験の素材に使うことがある、、、という点が、英語リスニング試験の背後に存在するある「仮定」の問題点です。その仮定とは、遅いよりも速い英語を聞き取れるならば、受験者の英語能力が高い、、、というものです。たまに速度の速いものを聞かせて、受験者の「能力」を測ろうとするわけです。
これは正しいとはいえません。おそらく「認識論的な勘違い」とでも呼ぶことができるでしょう。速いものが聞ければ、英語がうまい、、、これは勘違いです。(算数の問題を早く解ければ、頭がよいというのも、正しい考えかたとはいえませんが、試験文化のなかで、あたかも速い=賢い、、、という認識が絶対の真とされています。実際には、問題を色々考えて解く、、、という行為自体が数学的な実践であり、大切なことです。)
 

高速な英語は、英語ネイティブでさえ、ときに戸惑わせるものであり、高速で喋ることはよいこととはいえません。映画などで、確かに、ものすごく速いスピード、そしてさらに口をもごもごさせながら喋るシーンがありますが、ネイティブでさえ、戸惑ってしまうことがあります。
       とはいえ、試験が存在するという現実を無視して批判するだけでも困ります。聞き取りの仕方について考えてみましょう。英語が早いか、遅いかという問題はおいておきます。
 

なぜ聞き取れない?
 

英語喉・ネイティブメソッドをやったあとで、英語を聞いたときに理解できなかったとすると、それはおそらく単語が分からないからでしょう。それはその単語をまだ習ったことがない、、、ということだけではなくて、習ったのだけど、本当の発音に慣れていない、、、ということでしょう。例えば、SONGの発音を日本人はこれまでソングだと思ってきましたが、実際はサングです。ネイティブメソッドを実践すると、本当の音が、そのまま聞こえていますから、SONGという簡単な単語でさえ、「え、サングって何?」と、混乱してしまいます。
 

聞き取りのコツ どうしたらよいか
聞き取りのコツは、分からない部分があっても、そこであわてず、とりあえずは、聞き流すことです。あれ、分からない、、、とその部分にこだわってしまうと、その後に続く部分も分からなくなります。日本語の例で考えてみましょう。聞いたことのない動詞「ばけぶる」という単語が出てきたとします(勝手につくった造語です)。
「コーヒーに、ばけぶるのに、牛乳にしますか、クリームにしますか」
 

「ばけぶる」が出てきて、「えー、なんだ?」と戸惑っているとその後が理解できなくなります。とにかく、聞き続けてください。すると、コンテクストから、「いれる」という意味だということが分かるでしょう(コーヒー、牛乳、クリーム、、、という単語が出てくることから想像できます。)。
 

なんらかの動詞である、、、ということが察知できていれば、さらにいいですね。コービーに牛乳かクリームを、、、とイメージすると、なんとなく、「ばけぶる」はなんらかの行為だろう(つまり動詞)、、、とぼんやりわかるでしょうか。
ある意味で、これもマインドゲームだということができます。分からない部分があっても、聞き流し、慌てずにパズルを解く、、、と。
       実際の英会話においては、分からなければ聞き返せばよいわけですから、試験よりもかなり楽になります。
 

ご質問
息を上手く使って話すのと喉と3ビートを気をつけた音読を録音して聞いて見ますと大分、スムーズで前の酷さに比べると良くなったのですが、逆に息を沢山吸って息を使って話すと、なだらかになり過ぎてネイティブの人の強調の部分やKとかPとかの強く息が出ている所が上手く言えていないことに気づきます。何か対策はありますでしょうか。
 多分これが「ポップ」と言われている物かと言う気もしますが
 

回答
これに関しては、ぜひ音声をお送りください。
 

ご質問
細かい発音(例えばuとUなど)は喉の場所も全く同じ場所なのでどのように区別すればよいか少し不安になりますが、余り口の形や舌の形に捕らわれず喉を使ってCDに似せるように努力すればよいのでしょうか。
 

回答
口や舌の形はとらわれず、喉で真似ることに専念してください。
 

確かに、日本語の話者にとってuとUの違いは微妙なようです。二つを並べてきくと、違いは明白ですが、そうでなければ、やや微妙です。これはuという音が日本人にとって、「発見」されて日が浅いからでしょう。これまでUだとされていたわけですから。
喉発音をしているかぎりは少々のぶれは、それほど問題にならない、、、ということも付け加えておきます。例えばですが、BOOKOOのところを、間違ってと発音したとします(正しくはuです)。ところが、これを完全に間違いと決め付けることは、ややアンフェアだ、、、と考えることができます。
 

なぜでしょうか?
 

世界には色々な英語があります。よく探せば、地方によってはBOOKOOと読むところがあるからです。スコットランド人ならばそう発音します。ただし、スコットランド人の場合、このUをゲップエリアで発音しますから、正確にはU(下線)となります。
 

とはいえ、標準米語のやり方を覚えておくのが安全ではあるでしょう。色々な種類の英語をミックスすると、聞き手を混乱させてしまうかもしれません(日本の色々な方言をまぜて喋っているような感じになります)。
 

とりあえずは英語喉のやり方で、学習を継続することをお勧めします。上で、「それほど問題にならない」と言ったばかりですが、アメリカ英語を喋っていて、突然、BOOKUで発音すると、聞き手は「あれ?」と思うことは確かです。
 

ご質問
thatwouldなどは特に後半を、toofなどの前置詞は全体をどうしても他の名詞や動詞などと同じ強さで読んでしまい自分の音読を録音すると、やはりお手本とは雲泥の差です。なにか手立てはあるのでしょうか。(ここまできたら、もう少し極めたいと思います。)
 

回答
特定の語を強調する、、、というのは従来の音声学の考えかたですが、実際の英語においては、そういうことはありません。どの単語を強調するとか、どのシラブルを強調する、、、というのは、感情の問題ですから、学習のさいにはあまり考えないようにしてください。

たまたま音の性質によって、日本人の耳には強調されて聞こえるような音があったりしますが、自然に起こることですから、気にしないください(レッスン50を参照)。
実際、全てのシラブルを強調して喋るネイティブはたくさんいます。そういう人たちは、「シラブルを強調してしゃべるぞ」と思って喋るからそうなっているわけではありません。自分の言っていることを、相手にしっかり伝えたい、、、という感情があるから、そういうしゃべり方になっています。


これは日本語でも同じです。日本語において、動詞だから、強く読む、「で(場所を示す)」だから弱く読む、、、なんていうことはおこりません。これは英語でも、どんな言語においてでも同じです。こんな読み方(以下)を、いつも、したら気味が悪いことでしょう。
 

は駅に行きますジーナさんは、コンビニに行きます
 

ご質問
英語にも実際にTやKなどの破裂音と呼ばれる音は、「ッ」と言う感じで途切れ途切れに聞こえるのですが此れも最初に話されていた「喉ブレーキ」とは違うものなのでしょうか。
 

回答
TKは、英語喉では(メソッドの正式名称はネイティブメソッドです)、無振動音と呼んでいます。従来、無声音と呼ばれていましたが(これは本で述べていることですね)、無声音だから声がない音、、、と勘違いされ、例えばPだと、すいかの種を出すようにプッと発音せよ、、、というような間違った指導がされてきました。声がないから(無声音だから)、息をものすごく強く吐き出す音だ、、、とされてきたのです。
 

BOOKとかPETといったときに、小さなツ、つまり「」があるように聞こえるのは、ちょうどその部分が、KとかTの音のライフサイクルの最初の部分だからです。この部分では、風キャッチが起こっているところです。特にKTの中間地点(ピーク)のところに行く過程で風キャッチが起こりますが、その直前は、ピークのところに比べて、音の始まりが静かな印象があります。その部分のせいで、音の最初から中間地点のところがスタッカート(小さなツ)のような感じがします。
 

大切なのは、音が弱く聞こえるから、そこに音が存在しないということではありません。
 

KとかTは音の始まりが静かな感じがしますが(終わりも始まりほどではありませんが、弱い感じがします)、Rは逆です。音のライフサイクルの最初から最後まで、音の強さが均一な印象があります。(だから例えばCARDという単語を聞いて、日本人は「小さなツ)があるとは感じません。)
 

(音によって個性が異なるということです。この個性は、ライフサイクルを大切にしていれば、自然に起こることです。)
 

この問題(KTが小さい「ッ」に感じられるという問題)は、3ビートを練習することで解決します。例えばBOOKでいうと、3つの音を、一つのシラブルにうまく乗せる練習をしてください(レッスン32を参考に)。3つの音がバランスよく一拍に乗るようにします。
 

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5 thoughts on “英語劣等生さんのご質問への回答(その2)

  1. 英語劣等生 says:

    ご回答ありがとうございます。

    中々一朝一夕には行かない部分も多いですが
    継続は力なりを信じて毎日続けて行こうと考えております。

    お忙しい中、細かい質問にまで丁寧にご回答いただき
    ありがとうございました。

    今後とも宜しくお願いいたします。

  2. ぽんてぃ says:

    便乗して質問させて下さい。

    3ビートについてです。
    各シラブルを一拍として、その一拍ずつを一定のリズムで発音するのが、ネイティブにとって標準で自然なのでしょうか?
    お坊さんが木魚を叩くリズムのような、あるいは、メトロノームのような、単調な一定のリズムで各シラブルが発音されることを期待していれば、ネイティブが話す言葉は聞き取りやすくなるのでしょうか?

    それとも、英語喉で言う3ビートでは、シラブル間のリズムまでは言及していないのでしょうか?
    つまり、各シラブル間のリズムは適当に加速したり減速したりするのが自然なのでしょうか?
    英語喉の CD では、Lesson 44 の I did it と Ham and an egg の読み方は一定のリズムではなく、減速したり、加速したりしています。
    I did it は、タンタタンのリズムで読まれていますが、このほうが、一定のリズムで読むよりもネイティブにとっては自然なのでしょうか?

    例えば、次の文はどう読むのが自然なのでしょうか?
    I went to the park to talk to her.
    これを各シラブルを一定のリズムで読むと、言いかえると、各単語を全て同じ長さで読むと、私にはかなり不自然に聞こえます。
    ネイティブにとってはどうなのでしょう?

    各シラブルを一定のリズムで読むべきかそうでないのかが疑問です。
    一定のリズムで読むわけではないとなると、3ビートを実践することでネイティブの言葉が聞き取りやすくなるのは本当なの?という気になってしまいます。

    ご回答いただければ幸いです。

  3. NipponDream says:

    ぼんてぃさん

    回答が遅れました。とてもよいご質問だと思います。まず、「一定のリズム」に関してですが、シラブルをボンボンと読んでいくときに、大切なのは、ボンに値するユニット中に含まれる音がが正しいかどうか、そしてそのシラブルがスムーズに次のシラブルにつながっているかです。シラブルの正確の時間が、全部同じであるか、、、ということではありません。

    シラブルに含まれる音の性質によっては、やや長めに感じられるものもあることでしょう。英語喉においては、1,5拍子に感じられるようなシラブルの紹介もしていますが、それでも意図としては1拍で読もうとしているのがふつうですので、一拍として数えています。

    長めに感じられるシラブルは例えば、やたらとグループ子音やカップル母音があったりするシラブル、つまり中身のぎっしりつまっているものがあります。ですが、どれが短いのか長いのかを暗記しようとしたり、意識する必要はありません。そういうシラブルは誰が読んでも、自然と長めに感じられるようなかんじで音となるからです。

    それから、I DID ITがタンタタンに聞こえるのは、おそらくDIDのところの音、つまりDとIが両者とも、ゲップエリア発音であることに関係していると思います。首の根元での発音が続くと、なんとなく私たちの耳には早く読まれているような感じがします。(他の例としては、SHEEPとSHIPがあります。これは英語喉で紹介しています)。

    いずれにせよ、I DID ITを言うときに、タンタタンだぞ、、と意識するのではなく、BON-BON-BONだと思って読み、ゲップエリア、アクビエリアが正確に出せていれば、自然にタンタタンという感じになるでしょう。

    ただし、あくまでも、音の長さは厳密な意味には関係しませんから、あまり神経質になる必要はありません。

  4. ぽんてぃ says:

    ご回答ありがとうございます。

    まず、少し誤解されていると思われる点があるので、指摘させて下さい。
    > I DID ITがタンタタンに聞こえるのは、(中略)なんとなく私たちの耳には早く読まれているような感じがします。
    とありますが、なんとなくそう聞こえるのではありません。
    英語喉 CD の Lesson 44 では、手拍子を打ちながらシラブルを読む練習をしています。
    その手拍子がタンタタンなのです。手拍子が、"なんとなく"タンタタンに聞こえるわけがありません。

    とは言っても、Kaz さんの回答は、「各シラブルは、一定の間隔で発音する必要はない」ということですので、タンタタンだろうとタタンタンだろうと、そんなの関係ねぇということですよね。
    では、3ビートを知ると英語が聞き取りやすくなるというのは、どういうことなんでしょう?

    3ビートの要領で発音すれば、I did it がタンタタンのように自然となってしまうというのは、なんとなく分かります。
    しかし、逆に、英語を聞きとる際に、3ビートが役立つという理由が良く分からないのです。
    結局、3ビートを意識して"話す"訓練をつめば、結果として、ネイティブの話し方に慣れることとなり、それが聞き取りの向上につながるということなんでしょうか?
    つまり、まず話す練習をしなければ、聞きとりの向上はできませんよ、ということですか?
    もう少し言い換えると、どんなに3ビートを意識したところで、話す訓練を積まなければ、英語を聞き取りやすくなることはない、ということですか?

  5. NipponDream says:

    ぼんてぃさん

    話す訓練以前に、3ビートだけでも、つまりボンボンボンのリズムだけでも、感覚的に感じられるようになるといいのですが、、、。これは絶対に英語でやらんといかんというわけでもありません。まずは犬の鳴き声からでもいいかもしれない、、、と極端なことをいってみます。なんとなく犬も子音ー母音ー子音っぽいですよね。WOOF WOOFみたいな。

    まずは意味を無視して3ビートだけを感じとってみてください。「話す」ということとは別の次元ですね。

    南部訛りの英語は3ビートが聞き取りやすいですよ。これなんかどうでしょう。

    http://jp.youtube.com/watch?v=gkrXNbn3y6o

    元副大統領 ゴア氏です。なんとなく、顔とか体も3ビートにつられて動いてませんか?

    私もなんか英語を喋るとき、自然と3ビートにあわせて、体が動くときがあります。あとゲップエリアの発音をするとき、なんとなく体が動いてしまう。ゴア氏も、そんな感じがするときがあります。

    印象レベルにすぎませんが、、、。

    >では、3ビートを知ると英語が聞き取りやすくなるというのは、どういうことなんでしょう?
    ボンティさんはコンピュータプログラミングをされますか?私はSASという統計ソフトでプログラムをしますが、;は大切な区切りの記号です。
    例えば
    proc means;
    var x1 x2;
    run;
    この;を忘れたり、意味的に違う場所につけてしまうと、エラーになります。コンピュータが理解できません。

    正しいシラブル分割はこの;がする役目にすごく似ています。シラブルわけを間違うとネイティブは、何を言っているのかを想像しながら理解しなければいけなくなるんです。逆に少々音を間違っていても、シラブルさえ正しければ、想像するのが楽です。

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